<お知らせ>
俵太との出会いのエピソードをお送りしています。
いままでの話は俵太との出会い
(その1) (その2) (その3) (その4)をご覧ください♪
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その後、何度か一人でペットショップに行った。
いつ見ても、店内の首輪のリスは、お客さんの肩に乗ったりして遊んでいるようであったが、汚い小屋のリスは、やはりケージの底いっぱいの殻の中から実の入ったひまわりの種を探していた。
そして行くたびに私は、店内のハムスターやシマリスのケージの中からひまわりの種を拝借して、その小屋のリスに食べさせながら、相変わらず色々なことを考えていた。
週末の土曜日、再び夫と一緒にペットショップに行った。店内の首輪のリスを軽く撫でた後、外の汚い小屋に入っていった。何度入ってもやはり臭く、埃っぽい。
リスは元気か?そして小屋の仲間たちは元気か?と夫とざっと見渡していたその時、私は
「ギャー!」と叫んでしまった。同時に、夫が
「見るなっ!」と叫んで私の目を手で塞いだ。でも、もう見てしまったのだ。
売られていたはずの、ある小動物が、大型の肉食の鳥のエサとして与えられていたのだった。
それは、エサ用のマウスなんかではないことは、一目でわかった。弱りきった小動物を与えたのだろうと思った。
こんなことが普通のことなのかどうかはわからない。なにやら無性に怖いけれど、しかし、これが現実なんだ。目を塞ぐことばかりしていてはいけないと感じた。
そして私は、心に決めた。
本来、野生にいるべきリス。自由に森の中を走り回って暮らしたかったはずのリス。
きっとどこかの人間がリスの巣を襲って、親リスから子リスを奪ってきたに違いない。そして、回りに回って、ここにやってきたんだろう。
ここにやってきてから、どのくらい経ってるんだろうか。すっかり大きくなっているから、今年の春に生まれてたとして9ヶ月は経っている。でも、この状況を考えると、そんなことは考えにくい。1年、いや2年はここにいるのかもしれない。親元を離れ、狭いカゴに閉じ込められ、ひまわりの種しか知らない世界。今、森に帰っても順応して暮らしていけるとは信じがたい。
もう森では暮らせないけど、一生懸命頑張るから私たちと一緒に暮らそう!
そして、野生にいるべき動物を私は飼ってしまっているという意識はなくさずいよう。
可能な限り気を配って、最終的に「人間との暮らしもなかなか良かったよ♪」と言ってくれるハズ!と思えるくらい頑張ろうと心に誓った。
そして、ペットショップの人に、外の小屋のリスを買いたいと申し出た。
大きめのケージを購入して、そのケージにリスを移動させると、リスは興奮してバク転しながら暴れまくった。こんなに飛び跳ねるのかと驚いた。今までは飛び跳ねようにもスペースが小さすぎて身動きがとれなかったのだろう。
精算を済ませ、リスの入ったケージを車に乗せた。駐車場から見える、このリスがいた汚い小屋を見つめ、まだあそこにいる他の動物たちの幸せを願った。
家に着き、ケージをリビングに置いた。少し落ち着いたのか、またカワイイ目をしてこちらを見ている。
「今までよく頑張ったね。至らないことだらけだと思うけど、一生懸命頑張るから楽しく暮らそうね♪」
こうして俵太と出会い、そして俵太は我が家にやってきたのだった...。(おわり)
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ご精読ありがとうございました。
その後、試行錯誤しながら、実体験からいろんなことを学び、なんとか元気に俵太は暮らしています。
年齢不詳のニヒルな奴ですが、これからもまだまだ元気に過ごして欲しいです。
(お店に2年いたとして、現在2004年秋で、おそらく10歳半くらいではないかと推測してます)
また、以前 『リスとの暮らし方』 と称して、俵太との生活から得た体験をもとに 『イワリス(俵太)との暮らし方』 を書いたものもありますので、よかったらご覧ください。(ご覧の際には、「はじめに」のページから読んでね)
リスとの暮らし方