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俵太との出会いのエピソードをお送りしています。
いままでの話は、こちら→ 俵太との出会い(その1) (その2)をご覧ください♪
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臭くてムシムシする汚い物置小屋の中に詰め込まれた動物たちが入ったケージは、どれも
茶色く錆びていて、エサ入れの中もほとんど空っぽで、糞の始末もしばらくしていないようであった。
たまの来客に驚いたのか嬉しいのか、詰め込まれた小鳥たちは騒ぎたて、小動物たちはとても狭いケージの中でバタバタと暴れていた。近づくと、ますます興奮して暴れる。
そんな中、高さ30センチほどの錆びた小さなケージに入れられたリスを見つけた。
さきほど店内で見たハイイロリスというリスと同じ種類のようだ。しかし、首輪は着けていなかった。
このリスのケージには、汚くて小さい給水ボトルが吊るされてはいたが、エサ入れは見当たらなかった。
見ると、錆びたケージの底には、一面ヒマワリの種の殻が落ちていた。
エサ入れがないところから察するに、ケージを開けた際に逃げ出したらいけないので、このリスへのエサやりは、ケージの上からヒマワリの種をばら撒いているのかもしれない。
少し離れた位置からしばらく見ていると、リスは、とてもお腹が空いているのか、
床に落ちたヒマワリの種の殻を手を伸ばして口で拾っては、中身の入った種はないかと探しているようだ。
海外のスラム街でゴミをあさる子供たちの姿とダブって見えた。
「お腹が空いてるの?」と言いながら、夫と一緒にそのケージに近づいてみた。
すると、そのリスは暴れることなく、
目をキラキラさせてタタタと近づいてきた。何か言いたそうな顔をして、少し微笑んだ顔のままこっちをじっと見ている。
「うわぁ~~このリス、店の中のリスよりずっと目がキラキラしてるねぇ。いや~かわいい顔してる!なんか笑ってるみたい!」
「確かに目の輝きが店のと全然違うな~」夫もそう言う。
私たちが離れると、やがてケージの奥の方に行くのだが、またケージに近寄ると、すぐタタタと寄って来ては
目をキラキラさせてこちらを見るのだ。
しばらく顔を見た後、ケージから離れて観察していると、リスはやっぱりお腹が空いているのか、またヒマワリの種の中身探しを始めた。
私は物置小屋の床にヒマワリの種が落ちているのを見つけた。それを拾って、そのリスにあげてみた。
リスはその種を受け取ると、大喜びでパキパキと剥いて中身をあっという間に食べた。
そして、またこちらに近寄ってきて、
もうないの?もっとちょうだい!という顔をしている。
そこで私は店内に戻り、シマリスやハムスターのケージの中に入ってるエサ入れの中から10粒ほどヒマワリの種を拝借して小屋に戻り、そのリスに1粒ずつ食べさせた。もう大喜びだ。
その後、嬉しそうに食べているリスの姿に少し安心して、臭い小屋を出た。
店内に戻ると、相変わらず首輪を着けたハイイロリスがお客さんの腕や肩を渡り歩いている。
その姿はとても可愛い。このリスなら、もうすでにヒトにも慣れているし、すぐ楽しい生活が出来そうだ。
しかし、改めて見てみると、やっぱり目が物置小屋の中のリスほど輝いていないと感じた。
この日は、これで店を出た。(つづく)
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